デザイナーが中期製品戦略を立てて全社員に未来を見据えたアクションをしてもらうまで

こんにちは、Reproのデザイナーの河西です。今日は、以前取り組んだ「中期製品戦略の策定」について話したいと思います。

ちょうど1年前のある日、中期経営計画の改定にともなって、中期製品戦略の策定のためのプロジェクトが立ち上がり、策定のためのメンバーの募集がありました。 デザイナーとしてもっと幅を広げたい、会社のみんなにもっとプロダクトにフォーカスしてほしい、売上を伸ばしたい...そんな思いから、策定メンバーに立候補しました。

Reproでいう中期製品戦略とは

戦略的な目標とそれに必要なプロダクト上の戦術を含む、約3年分の開発マイルストーンです。(以下 製品戦略と表記)世間的にはこれら戦略まで含んでロードマップと表現されることもあります。

製品戦略にはプロダクト戦略と戦術が含まれている

誰も正解がわからない中大変だったこと

経験者が不在でゴールがわからない

今までは経営陣がトップダウン的に決めていたものを、今回はより顧客ニーズと実際の開発チームからの意見を反映しやすくするためにも、現場に近いメンバーで策定することになりました。しかし、集まったメンバーは私を含め、誰も製品戦略を策定した経験はありませんでした。

始めた当初、製品戦略って一体何なのか?どんなアウトプットを目指せばいいのか?何を基準に決めればいいのかも、全然わかりませんでした。

最終的には、私たちが中長期的に目指す像をわかりやすく表現するため、上の図のような戦略とその実現のためのロードマップという形に落ち着きました。なぜそのマイルストーンになったのかなどは3Cなどのフレームワークを活用したり、自社のプロダクトや組織ごとの整理をしたりすることで解決していきました。

役割分担が曖昧でうまく進められない

加えて、カスタマーサクセス(CS)などのメンバーで構成された策定チームでは、お互いの役割分担や進め方も明確ではありませんでした。デザインチームは製品知識はあってもマーケティング的な視点が足りず、なぜこうした製品戦略が必要なのか理解するのに苦労しました。

役割分担や進め方については、タスク管理を行う、議事録を取る、何度もコミュニケーションするなど当たり前のようなことを積み重ねることで進み方は改善しました。 マーケティングの知識不足については、実際に顧客からの意見や提案内容などを聞かせてもらうことで少しづつ理解を進めることができました。

根拠となる情報集めが難しい

製品戦略の策定経験者がいれば、どういう情報を集めれば決められるのかにあたりを付けることができたのかもしれません。が、私たちは何を拠り所にすればいいのかすらわからない状態でした。 そこで、まずは取っ掛かりとして、過去にReproのサービスを解約した企業が求めていたものを徹底的に分析することにしました。 解約ヒアリングの結果を読み返し、整理、パターンを見つけ出し、それを取りまとめる作業は本当に大変でした。

ユーザーの課題をヒアリングし需要や目的を構造化する点では、デザイナーとして最も貢献できるポイントだったため力をいれて活動しました。 製品戦略を始めるまではデータ集計のスキルなども足りていなかったのですが、この機会に学習し、今後の製品戦略の改定のために活用しやすいシートにすることができました。

tech.repro.io

具体的な開発計画のためのロードマップ策定

そんな苦労もありましたが、無事製品戦略の策定を終えました。しかし、製品戦略レベルの抽象度では実際に顧客に説明もできませんし、開発も進行することができません。製品戦略上ではあえて細かい解決策、要件までは言及していないからです。 そのため製品戦略を実現するためのロードマップとして「3ヶ月後にはこのような機能が追加される」という、より具体的な計画を開発チームが中心となって策定していきました。

製品戦略を実現するための3ヶ月単位でのロードマップ

策定した中期製品戦略の浸透活動

製品戦略が策定されれば売上が立つわけではありません。この製品戦略とロードマップを見て、全社員の一人ひとりが将来のプロダクトをイメージし、先回りしたアクションを取れるようにすることも重要でした。

そのため、私たちは策定した製品戦略とその策定の背景、そしていつどのような価値を顧客に提供できるのかを全社員にむけて繰り返し発表しました。

このような浸透活動を行った結果、社員1人1人が未来開発される内容を背景から理解できるようになり、未来を見据えた商談や提案活動が行える状態になっています。その結果、お客様からのフィードバックなどが開発チームにも随時共有されるようになり、Repro全体で一層ひとつの目標にむかって動けるようになってきたなと感じています。

まとめ

UXの5階層というものがありますが、そのもっとも端にある「戦略」というレイヤーにもデザイナーとして関与することができ、与えられた要件のなかでデザイン検討をしていた頃からさらに活動の幅を広げられたなと思っています。

活動の幅が広がることで、デザイン活動を行う際も、なぜこのUIにするべきなのかを考える際に、戦略的背景を思い出したり様々な視点から検討ができるようになることで、いままでより自信をもってデザインの提案ができるようになったと感じます。

今後も引き続きよりReproが会社としてより成長するために、策定された製品戦略をより良くするための改定に向けて奮闘していくわけですが、Reproではともに働いていただけるデザイナーを募集しています!このようなプロセスに少しでも関心をお持ちの方、デジタルプロダクトをデザインしたい方など是非ともお話お聞かせください!