作って終わりにしない!チームのビジョンの策定と活用のためにやったこと

はじめに

こんにちは、ReproでUI/UXデザイナー組織のマネジメントを担当している多賀です。 今回は私達が取り組んでいたチームビルディング活動のうち、ビジョンの策定とその活用について紹介したいと思います。

※ここで言うビジョンとは、どんなチームにしたいのか?の共通認識を言語化したものと捉えています。

いかに良いチームをつくるかはどんな組織においても課題だと思いますが、私達の取り組み例が少しでもお役に立てれば幸いです。

当時の状況

ReproのUI/UXデザイナーは、プロダクト企画を行うProduct Planning Teamというチームに所属しています。

※Product Planning Teamについて詳しくはこちら tech.repro.io

チームが発足したのは約1年前で、異なる2つのチームとして活動していたUI/UXデザイナーとPMMを束ねて現在の体制となりました。(少し珍しい組み合わせかもしれませんね)

異職種のメンバーが合流しそれぞれ経験したことのない領域を新たに責務として持つことなり、試行錯誤しながら業務を進めなければならない状況にありました。

実施したこと

先ずはビジョンに関して具体的にやったことを紹介します。

全体感はこのようになっています

1. ビジョンの種となるアイデア出し

チーム発足2日目に行ったキックオフのチームビルディングのなかで、ビジョン策定の前身となるワークショップを実施しました。

いきなりビジョンを作りに行くのではなく、各メンバーの人となりや価値観を共有したうえで、仕事の仕方やあるべきチームの状態についてざっくばらんに意見を出す場となりました。

ワークショップはMiroを使って実施しています

出てきた意見をグルーピングしてディスカッションすることで、背景や意図を把握し認識を揃えることができました。

2. MVVとして言語化

メンバーの一人がチームビルディングの結果を持ち帰り、MVV(Misson / Vision / Value)として言語化するたたき台を準備してくれました。

手法としては、ディスカッションメモから単語を抜き出し、頻出するものを構造化したうえでMVVの形に落とし込むという方法をとってもらったようです。このたたきをもとに再度チーム全員でディスカッションしFIXとなりました。

できたMVVはこちら

ビジョンに関してはディスカッション中多く登場した「意志を込める」というキーワードを含んだ内容で全会一致となりました。

3. ビジョンの達成状態定義

まずは2ヶ月ほど上述のMVVを掲げて活動を行いました。

毎週実施している振り返りのなかでも「意志を込める」というワードが頻出するなど、ビジョン自体は徐々に定着しつつありました。 一方で、様々な解釈ができるためにメンバー間で本当に認識が揃っているのかがやや曖昧、ということもわかってきました。

そこで、ビジョンを達成した状態を具体化してみるワークを開催。

各自が思いつく具体的な達成状態を書き出し、それをグルーピングとディスカッションし相互理解を深めました。 様々な角度の意見が登場し、たくさんのグループが生まれました。

できたグループを持ち帰り整理した図。一見まとまりなく見えましたが、おおまかな方向性や対象によりカテゴライズ、マッピングすることができました。

最後にアウトプットを再度チームに持ちこみ、認識をあわせて完了です。

発足当初は皆がやや想像に頼る中でチームの方向性を考えていた節があったのですが、2ヶ月間活動し一定解像度が高まったなかで改めて会話したことにより、多角的かつ具体性を持って達成状態をイメージすることができたように思います。 またその後の整理を通じて、達成状態にはグラデーションがあることが可視化できたのも収穫でした。

4. ビジョンに対する現在地の点検と、チーム目標への昇華

Reproの開発組織ではQ(クォーター)毎にチーム目標を策定しています。 2Q目の活動からはビジョンからブレークダウンした要素を目標に取り入れる試みを行いました。

まずは以前具体化した「ビジョンの達成状態」に対する現在地を確かめるため、自分たちの置かれた状況の振り返りを行います。

帆船を使って実施。ビジョンというGoalに向えている活動・追い風・阻害要因などを洗い出しながら、次のアクションの方向性をイメージします。

振り返り結果を踏まえ、どんな組織開発に取り組みたいかのチームの意思を目標に織り交ぜることができました。

ちなみにその次の目標策定時にも少し異なる方法で「ビジョンの達成状態」を利用しました。

達成状態ごとにKeep / Problemな点を洗い出すことで、ビジョンに近づけている点・距離がある点を認識。そのうえで次に注力したい領域のイメージをつけました。

このようにQ毎の目標策定の機会にビジョンを活用していますが、ある程度具体化された「ビジョンの達成状態」があることで振り返りがしやすくなっているように思います。

ただし、いつまでも同じ「ビジョンの達成状態」を参照し続けることはできないとも思っています。 あくまでチーム発足2ヶ月目の景色で定義したものであり、チームが成長し取り巻く状況も変化するなかで目指す状態はレベルアップしていくものです。少なくとも半年〜1年おきくらいには刷新できると良いのではないかと考えています。

ポイント

長々とプロセスを書き起こしてしまいましたが、全体を通して良かったポイントを挙げてみます。

小さくクイックにはじめる

とても良かったと思っているのが、最初のビジョン策定を小さく素早く行えたことです。

ワークショップはチーム発足2日目のタイミングに実施できましたし、かけた時間も1時間程度と省コストながらどんなチームにしたいかの言語化まで到着することができました。

ビジョン策定の類は重要ではありますが、どうしても緊急度が下がり後回しにしてしまう側面があると思います。また、ちゃんと作ろうとするといくらでも時間をかけることもできます。そこを一旦チームが走り始められるサイズ感でクイックに実施できたのは非常に良い点でした。準備を進めてくれたメンバー(id:koheikawanishi)には感謝しかありません。

自分たちの言葉にする

ビジョンを作る際トップダウンボトムアップの方向性があると思いますが、小さなチームにおいてはなるべく後者をとり自分たちの言葉でどんなチームにしたいか表現できるのが理想と思っています。

今回は幸運なことに100%ボトムアップでビジョンの策定を行うことができました。(※UXデザイナーがワークショップ設計に長けているというアドバンテージはあるものの、最初のチームビルディングからメンバーが企画推進してくれています。)

やはり自らの手でビジョンを掲げることは愛着やモチベーションになりますし、その後チームへの浸透・活用コストが桁違いに低くなる実感があります。

もちろん組織規模や状態によってはトップダウンでやらざるを得ないとは思いますが、数十人規模の組織をまとめているReproのマネージャー陣を観察していると、

  • トップダウンで素案を掲げつつも、メンバーによるディスカッションの場を設け、その意見をもとに最終的にチューニング
  • トップダウンでビジョンを打ち出すが、その代わり徹底的に繰り返し伝えるなど浸透コストを惜しまない

といったアプローチで工夫が凝らされており、 重要なのは、ビジョンが単に上から下りてきたモノという体験にすることなく、メンバーそれそれで思考や咀嚼の場を持ち、その考えが反映されている状態をつくれていることなのだろうと思います。

作っただけで満足しない

個人的に一番重要だと思っているポイントです。

これまでのキャリアのなかでチームビジョンはもちろん、デザインシステムやプロダクト原則のような旗として掲げる類のものを何度も作っては腐らせてきた苦い経験から、作るまでは簡単だがそれを浸透・活用し生きたビジョンにし続けることこそが難しいと考えています。

ビジョンはどうしても日々の業務に追われて忘れ去られてしまいますので、事あるごとにしつこく引っ張り出すのはマネージャーの役目だと思っています。 週次の振り返りで毎回読み上げてみる、などの地道な継続や、目標策定時に定期的に振り返るといった業務サイクルへの組み込みが肝心です。 そしてチームや取り巻く環境の変化にあわせて絶えずビジョン自体やアクションは見直し、アップデートし続けることも重要でしょう。

なお、できるだけシンプルな言葉で表現しておくというのも活用のうえでプラスになるかもしれません。(重厚長大なアウトプットほど、忘れますし作って満足になりがちです…)

やってどうだったか

手前味噌にはなりますが、チームが機能する状態になれてきていると感じています。

もちろんチームづくりに終わりはないですしまだまだ伸びしろはたくさんありますが、一定の成果は出せるようになっており、発足半年時点でチームで社内表彰を受けることもできました。

チームで表彰されたときの様子

今回の私達のように試行錯誤が求められる状況において、個人が五月雨に活動するのではなく、チームとして目指すものに向かってそれぞれが創意工夫できる状態をつくること。そのことがより適切な試行を生み、より大きな成果に結びつくのだとすると、その状態をつくるための手段のひとつとしてビジョンの策定は有効だと感じています。

また、目まぐるしく変化するスタートアップでスピーディに具体的なアクションを行い続けるためには、自分たちがどうありたいのかの原点を抽象度高く認識できていることは非常に強みになります。

まとめ

以上、ビジョンを活用してより良いチームを作るためにやったことやポイントをご紹介しました。

プロダクト作りには正解がないからこそ、道なき道を試行錯誤できる良いチームを作ることが良いプロダクトを作る近道になると信じています。

私達と一緒に素敵なチームを目指していただける方を絶賛募集中です。 Reproに少しでも興味をお持ちいただけたら、ぜひお話しましょう!

www.wantedly.com