はじめに
こんにちは、ReproのProduct Planning Teamでプロダクト企画やパートナー連携を担当しています狩野と申します。
この記事では実際のある機能リリースを題材に、今Reproがどのような考え方で企画・判断を行っているのかを紹介します。いわゆる「機能の使い方」や「実装の詳細」を解説する記事ではありません。なぜそのアプローチを選んだのかをプロダクト企画の視点から振り返るケーススタディです。
題材とするリリースについて
今回取り上げるのは、各種マーケティングチャネルの配信実行を「エンドユーザーに紐づくイベント」として管理画面上から扱えるようにし、それを用いて配信制御を可能にした機能リリースです。
参考 : Repro 機能アップデート | マーケティング施策の配信数制御が簡単にできるようになりました
これにより、プッシュ通知やメール、アプリ内メッセージといった様々なチャネルでの施策配信をエンドユーザーに紐づく「イベント」として同一の形式で扱えるようになりました。その結果、チャネル横断での配信制御といったユースケースを既存のUIや体験を大きく変えることなく実現しています。
本記事では、このリリースを「何ができるようになったか」ではなく、「なぜこの形で実現したのか」という観点から掘り下げていきます。
デジタルマーケティングの高度化に伴うプロダクトの複雑化リスク
皆さんはいち消費者として利用しているサービスからのプッシュ通知やメール・LINEが多すぎて受信設定をOFFにしたという経験はないでしょうか?
デジタルマーケティングを取り巻く環境は年々複雑になっています。利用できるチャネルは増え、ユーザーとの接点も多様化したマルチチャネルコミュニケーションが一般化し始めています。
その中でデジタルマーケティングの現場では、「ユーザーに送りすぎない」「短期間に同じような通知を重ねない」といった配慮が重要になります。
こうした背景から、「このユーザーには今月は◯通まで」「チャネルをまたいで配信数を制御したい」といった要求が自然に生まれます。マーケティングの文脈では至極妥当な要求ですが、プロダクトの視点で見ると話は単純ではありません。
様々なチャネルごとに異なるルールや例外を積み重ねていくと、構造はすぐに複雑化し保守や拡張が困難になってしまいます。
Reproが採用するイベントドリブンな設計思想
Reproでは何かの変化や行動といった事実を「イベント」と定義し、これを一貫したフォーマットとして取り扱うことを大切にしています。
イベントの代表例としては、エンドユーザーが実際に起こした「アプリの起動」や「カート画面への遷移」といったものがわかりやすいです。それ以外にもサーバーサイドで発生する「発送完了」や「審査完了」といった情報、さらにはReproというMA上で発生する「プッシュ通知を配信した」といったものまでも含みます。
こうした一連の事実をイベントという統一のフォーマットで取り扱うことで、Reproをご利用いただくお客様とReproの間の共通言語を定義し、連携実装のシンプルさや機能拡張のしやすさを実現しています。
配信制御を「新しいことを増やさず」に実現
ここまでの内容を踏まえて本題である「なぜこの形で実現したのか」について説明します。
この配信制御という要求に対しての対応策はいくつか考えられます。思いつきやすいのはチャネルごとの配信設定画面にて専用UIを追加する、新しい概念を導入して管理するページを追加するなどのアプローチでしょうか?
しかしそれらは短期的には分かりやすい解決策に見えても、長期的にはチャネルが増えたり状況が変化した際に考えることが増えるという観点でプロダクトを複雑にしてしまいかねない選択肢です。
私たちは「この要求は本当に新しい概念を必要としているのか?」という問いから考えました。その結果辿り着いたのが、既存のイベントドリブンな設計の中にこの要件を位置づけるという判断です。
これまで「プッシュ通知を配信した」といったチャネルごとの配信イベントはReproにて内部的な処理に利用していたため、管理画面上のUIからマーケターが利用できるようにしていませんでした。
そこでチャネルごとの配信という事実を管理画面から他のイベントと同じように取り扱えるようにすることで、既存のUIや集計の仕組みなどをそのまま活用して要求を満たすことにしました。

管理画面を利用するマーケターは新しい概念を覚える必要がありません。施策を設定するために配信対象を選ぶという普段通りの体験のなかで自然に配信制御という新しいユースケースを取り扱うことができます。
結果として、できることが増えているにもかかわらずプロダクト全体としての理解コストは増えていません。これは「何かを足した」というより、「既存の構造をそのまま広げた」結果だと考えています。
イージーでなくシンプルを選ぶ
一見すると、このアプローチは遠回りに見えるかもしれません。もっと直接的に専用のUIや画面を作るほうが簡単だった可能性もあります。
しかし、私たちは「イージーに作ること」と「シンプルに保つこと」は別物だと考えています。安易な近道は、後から複雑さとして要求変化への対応の難しさや制限の多さに返ってくることが多いからです。
実際にReproでもチャネルの増強に合わせて過去チャネル特化で作成した機能の取り扱いに苦しんでいるという反省があります。
プロダクトのコアとなる設計思想に立ち返り、それを崩さずに要求に速く応えることは結果的に開発生産性やその後の拡張性を高めます。今回のリリースはその一例だと捉えています。
Reproでのプロダクト企画とは
Reproでのプロダクト企画に求められるのは、要求をそのまま機能に落とし込むことではありません。ただそれだけをやるのであればコーディングエージェントで十分です。
なぜその要求が生まれたのか、それをどの構造に載せるべきか、将来どのような拡張があり得るか。そうした点を考え、プロダクトの思想と現実の要求をつなぐ役割だと考えています。
またこれはプロダクト開発に限らず、お客様の状況や課題を伺い将来を考えてどのような解決策を提案できるかといったことを考えることでもあります。
WE ARE HIRING!
私たちはプロダクト開発に閉じず、顧客や市場の課題を他社との協力も含めて解決するソリューション開発に一緒に取り組む仲間を探しています。
ぜひReproで行われている「イージーでなくシンプル」を追求する環境に興味がある方はカジュアル面談でお話させてください。
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